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野平一郎新作「静岡トリロジー」やモーツァルトがもっと楽しめる事前レクチャー
野平一郎のオーケストラ塾~ピアノでひもとくモーツァルトの世界、そして静岡トリロジー~

日時 2019年2月2日(土)14:00~(開場13:30)
会場 地下 リハーサル室
料金 ≪事前申込制≫
全席自由/一般:1,000円、こども・学生500円
※こども・学生は28歳以下の学生
料金は講座当日にお支払ください
主催 (公財)静岡県文化財団・静岡県
問合せ グランシップチケットセンター TEL.054-289-9000

野平一郎 作曲 モーツァルト
野平一郎

3/24(日)開催の、NHK交響楽団×野平一郎プロジェクトシリーズⅡ~N響メンバーによる古典派編+野平一郎新作静岡トリロジーⅡ「終わりなき旅」~をより楽しめるレクチャー。
野平一郎氏自らがピアノ演奏を交えながら「静岡トリロジー」の聴きどころや作曲秘話、モーツァルト音楽の魅力について語ります。

■出演
野平一郎(作曲家・ピアニスト・指揮者)

野平一郎(作曲家・ピアニスト・指揮者)

東京藝術大学、同大学院修士課程作曲科を修了後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。作曲、ピアノ、指揮、プロデュース、教育などの多方面にわたる活動を行う。ピアニストとしては、内外の主要オーケストラにソリストとして出演する一方、多くの名手たちと共演し、室内楽奏者としても活躍。古典から現代までレパートリーは幅広い。マヌリやベンジャミン、松平頼則等の作品を世界初演、またリゲティ、武満徹作品他の日本初演を行なう。作曲家としては、100曲以上に及ぶ作品を発表しており、フランス文化省、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、IRCAM、ベルリン・ドイツ交響楽団、モントリオール交響楽団、国立劇場(日本)、(公財)静岡県文化財団、(公財)静岡市文化振興財団等からの委嘱作品がある。第13回中島健蔵音楽賞、芸術選奨文部大臣新人賞、第11回京都音楽賞実践部門賞、第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第44回、第61回尾高賞を受賞。2012年紫綬褒章受章。現在、静岡音楽館AOI芸術監督。東京藝術大学作曲科教授。

開催レポート

2/2(土)「事前レクチャー 野平一郎のオーケストラ塾」を開催しました。

2/2(土)、作曲家でピアニストの野平一郎さんを講師に迎え、「事前レクチャー 野平一郎のオーケストラ塾~ピアノでひもとくモーツァルトの世界、そして静岡トリロジー~」を開催しました。

こちらは、3/24(日)にグランシップ中ホール・大地で開催する「NHK交響楽団×野平一郎プロジェクト シリーズⅡ N響メンバーによる古典派編+野平一郎新作 静岡トリロジーⅡ『終わりなき旅』」をより楽しむための事前レクチャーとして実施しました。

 第一部では、古典派を代表する作曲家・モーツァルトとその音楽について、第二部では静岡県文化財団が野平一郎氏に委嘱し制作された新作「静岡トリロジー(三部作)」について話していただきました。

3/24(日)の公演ではモーツァルトの名曲「交響曲第40番ト短調」が演奏されます。一度聴いたら忘れられない短調のメロディーが特徴のこの曲がなぜこんなにも人を惹きつけるのかということについて、野平さんは小さなモチーフや同じリズムが、様々に形を変えて繰り返し登場するところにあると指摘します。

「小さなモチーフを繰り返すことで、統一感を持ちつつ、それでいて毎回違うもののように新鮮に感じさせる。同じものが多様な展開をみせていく。」このことについて、野平さんはピアノ演奏を交え、時には自ら歌いながらわかりやすく説明しました。

野平さんのピアノ演奏が間近で見られる贅沢な時間でもありました!

また、モーツァルトの作曲の速さや、バッハやハイドンを研究していたというエピソードなど、当時の作曲家の生の姿が思い浮かぶようなお話も。バッハとモーツァルトには「限られたものの中で主題が展開し、同じものが次々と現れ多層的になる」という共通点があることや、モーツァルトとブラームスにもみられる音楽上の共通点などを挙げながら、優れた作曲家のアイデアや試みが、譜面を通して後世の作曲家へ影響していくということがわかりました。

第二部では野平さんが静岡のために作曲した新作「静岡トリロジー(三部作)」について解説。まずは昨年3月に行われた「静岡トリロジーⅠ」の演奏を鑑賞しました。

野平さんは「富士山など静岡の景色を描写する音楽ではありませんが・・・。」と前置きした上で、「静岡を象徴的に語るもの。日本一高い富士山と日本一深い駿河湾を有する静岡が持つ、とてつもない時間と空間がイメージの根底にある。」と語りました。

野平さんが「導きの糸」と語る解放弦(弦楽器の弦を指で押さえず弾く手法)や、唯一具体的なものの描写である静岡県の鳥「三光鳥」の鳴き声の表現など、昨年の「静岡トリロジーⅠ」でも披露されたモチーフが次回も引き続き登場するとのこと。

なお、古来より鳥の声は音楽家を魅了してきたということで、野平さんも「静岡トリロジー」のために三光鳥の鳴き声を聴き、イメージを加えながら採譜したのだそうです。

「静岡トリロジーⅡ」では、クラリネットやチェロなど5つの楽器の中から、奏者が1名ずつ指揮者の近くにソリスト的に配置され、その背後に同じ楽器の奏者が並び、前後の奏者が呼応するという珍しい形でのコンサートになるということが明らかにされました。

これはモーツァルトの時代にあった「コンチェルタンテ」という編成に近い形とのこと。作曲家から作曲家へ、モーツァルトから野平さんへと、音楽の歴史が「静岡トリロジー」にも受け継がれていることを感じました。

3/24(日)の「NHK交響楽団×野平一郎プロジェクト シリーズⅡ 」では、野平さんが自作曲「静岡トリロジーⅡ『終わりなき旅』」の指揮を務めます。NHK交響楽団の精鋭メンバーと共に世界初演を迎えるこの公演、ぜひご注目ください。


写真:撮影サポーター 平尾正志

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