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手頃な料金で一流の能楽師による公演をごらんいただける本公演は、今回グランシップ20周年記念として、これまでの公演を振り返るとともに「令和」という新しい時代を迎えた年にふさわしい演目を特別上演。
「一人翁」は山階家ならではの特別な演目で、神聖な儀式のような雰囲気に包まれます。
また、「高砂」も古く室町時代から現在に至るまで代表的な能の祝言曲として、人々に広く親しまれ、長寿や夫婦円満などの願いが込められています。
美しい詞章や所作が清らかで、気品に満ちた名曲。「高砂」のシテを務めるのは、1999年生まれの観世三郎太さん(二十六世観世宗家観世清和の嫡男。観世流シテ方能楽師)。これからの能楽界を担う若い世代の活躍に是非ご注目ください。
◆第1部
観世流能楽師による能楽入門公演
これまでの能楽教室参加者の代表による発表、グランシップの取り組み
謡の体験「大典」
◆第2部
「一人翁」山階彌右衛門、
仕舞「羽衣(キリ)」観世芳伸
半能「高砂」観世三郎太
山階彌右衛門 観世芳伸 観世三郎太
ロビーではグランシップのこれまでの能楽への取り組みを紹介するパネル展示や、能面を直接手に取ることができる能面体験コーナーをご用意しています。
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公演当日、お着物でご来場の方に先着でプレゼントをご用意しています。
「一人翁」解説
古より、御代を寿ぎ、「五穀豊穣、国土安穏、世界平和」を神前に誓い、平和と皆様方の幸せを祈り奉納する、儀式的要素が強く荘重な祝典の舞。常の<翁>とは異なり、千歳・三番叟は登場せず、囃子方も伴わないが、地謡との掛け合いで、直面の翁大夫が舞を舞い奉納する。<ひとり翁>の起源は古く、世阿弥の「申楽談儀」にも記述があり、古来より慶長年間まで、近江猿楽・山階家の当主が滋賀県・日吉大社にて奉納していた事が伺える。現在でも絶える事無く、新年を迎える元日0:00より、山階家の当主が東京・赤坂 日枝神社の神殿にて、吉例により奉納している。
今回は、新元号を寿ぎ、山階家の現当主、十二世山階彌右衛門が特別に「一人翁」勤めます。
半能「高砂」
九州・肥後国、阿蘇宮の神主・友成(ワキ)の一行が都に上る途中、播州・高砂の浦に立ち寄ります。春の高砂の浦に老人夫婦(前シテ・ツレ)が現れ、辺りの景色を眺めつつ老いの身の感慨を述べ、松の落葉を掃き清めます。友成の問いに高砂の松を教え、「相生の松」と呼ばれる謂れを語ります。「高砂・住吉の松は遠く離れていながらも『古今集』にも詠まれるように「相生」の名がある。また私は津の国・住吉の者、姥はここ高砂の者で、遠く離れていても夫婦として互いに心は通い合う。松でさえ「相生」の名で呼ばれるのに、ましてや人なら尚のこと。松とともにこの歳まで共に生き、共に老いて相生の夫婦となっているのです」さらに松についての目出度い謂れ、「草木国土、風や水の音にまで全て心が宿り、和歌の姿を表している。中でも松の木は万木に優れ、いつまでも変わらぬ緑を湛え、永き御代にたとえられる常葉木である。その松の中でも名高い高砂の松は、末代までの佳例とされる「相生の松」は目出度いこと」を語り、自分達こそ高砂・住吉の松の精であることを明かし、住吉で待とうと言い残して舟に乗り沖の方へと消えて行きます。(中入)
やがて高砂の浦より舟で住吉の浦へと着いた友成一行の前に、住吉明神(後シテ)が姿を現し、有り難い神の御影向、神は颯爽と神舞を舞い、御代を寿ぐのでした。
今回は、(中入)後、有名な待謡「高砂やこの浦船に帆を上げて」より、神々しい神舞を二十六世観世宗家 観世清和 嫡男 観世三郎太が上演致します。