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スクリーンを通して映像芸術の原点となる映画の素晴らしさをお伝えするグランシップサポーター企画「グランシップ懐かしの映画会」。今回は、後世に遺したい名作文学が原作で、昭和の若き女優の競演が印象的な4作品をフィルムで上映します。
会場内では静岡市の福祉事業所によるお菓子の販売や、お弁当、関連書籍の販売も。映画と併せてお楽しみください。
【上映スケジュール】
■10月20日(土) 10:00開場
10:30~11:57 「稲妻」
13:00~15:10 「にごりえ」
■10月21日(日) 10:00開場
10:30~12:09 「華岡青洲の妻」
13:00~14:27 「伊豆の踊子」
※フィルムの状態により、音声や映像に乱れが出る場合がございます。あらかじめご了承ください。
★各作品をご紹介したブログはコチラ!
グランシップ懐かしの映画会 上映作品紹介【 稲妻・にごりえ編】
グランシップ懐かしの映画会 上映作品紹介【華岡青洲の妻・伊豆の踊子編】
10月20日(土) 10:30~「稲妻」 / 13:00~「にごりえ」
稲妻 [1952年 大映(東京)] (白黒 スタンダード 87分)
[スタッフ]
原作 林芙美子
脚本 田中澄江
監督 成瀬巳喜男
撮影 峰重義
音楽 斎藤一郎
[出演者]
高峰秀子 三浦光子 香川京子 ほか
[解説]
林芙美子の同名小説は1936年に発表されたもので、実母をモデルにしたものだと言われている。下町の庶民の姿をいたずらに劇化することなく、静かに見つめているところに特徴がある。田中澄江脚本。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
にごりえ [1953年 新世紀映画社] (白黒 スタンダード 130分)
[スタッフ]
原作 樋口一葉
脚色 水木洋子・井手俊郎
監督 今井正
撮影 中尾駿一郎
音楽 団伊玖磨
[出演者]
淡島千景 丹阿弥谷津子 久我美子 ほか
[解説]
1937年に創設された文学座が、戦後その全盛期を迎えるにあたって発案・製作された作品。夭折した明治の女流作家・樋口一葉の晩年の短編小説「十三夜」「大つもごり」「にごりえ」を原作に三話構成のオムニバス形式を採り、当時新鮮な現代劇で注目されていた今井正監督が、京都映画撮影所(旧松竹下賀茂撮影所)で完成させた。「キネマ旬報」ベストテン第1位。
10月21日(日) 10:30~「華岡青洲の妻」 / 13:00~「伊豆の踊子」
華岡青洲の妻 [1967年 大映(京都)] (白黒 シネマスコープ 99分)
[スタッフ]
原作 有吉佐和子
脚色 新藤兼人
監督 増村保造
撮影 小林節雄
音楽 林光
[出演者]
市川雷蔵 若尾文子 高峰秀子 ほか
[解説]
有吉佐和子の同名原作を、新藤兼人の脚本を得て増村保造が映画化した作品。日本初の麻酔薬の開発者として名高い、紀州の医師華岡青洲をめぐる母と妻の葛藤を中心に描いている。「キネマ旬報」ベストテン第5位。
伊豆の踊子 [1963年 日活] (カラー シネマスコープ 87分)
[スタッフ]
原作 川端康成
脚色 三木克巳
脚色・監督 西河克己
撮影 横山実
音楽 池田正義
[出演者]
吉永小百合 高橋英樹 浜田光夫
[解説]
川端康成による有名な同名小説の4度目の映画化。日活では初めての試みで、当時同社の若手スターだった吉永小百合と高橋英樹が主演。宇野重吉扮する大学教授の回想という形式を採っているのが特徴で、現在と過去をカラーと白黒で使い分け、現代の女性と回想中の踊り子を吉永に二役で演じさせたことについて、西河克己監督はこれまでの『伊豆の踊子』と違った試みをやりたかった、と述べている。
開催レポート
10/20(土)~21(日)グランシップ懐かしの映画会 上映作品紹介【華岡青洲の妻・伊豆の踊子編】
10/20(土)~21(日)に開催するグランシップ懐かしの映画会 上映作品について、グランシップサポーターがご紹介いたします!
映画会のご紹介シリーズでは前回、【稲妻・にごりえ編】をお届けしましたが、今回は、【華岡青洲の妻・伊豆の踊子編】です。
「華岡青洲の妻」
こんにちは、グランシップサポーターNです。
「グランシップ懐かしの映画会」の二日目、21日(日)に上映される「華岡青洲の妻」を紹介します。
「華岡青洲の妻」1967年 大映作品 99分
原作:有吉佐和子、監督:増村保造、脚本:新藤兼人
出演者:市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子、伊藤雄之助、渡辺美佐子
■解説
世界初の全身麻酔による手術を行い、国際的にもその功績が認められている華岡青洲。作家・有吉佐和子は、江戸後期を舞台に、青洲とその家族を小説化しました。本作品は、原作をいち早く映画化し、話題となったものです。青洲とその妻・加恵は、当時人気絶頂のスター市川雷蔵と若尾文子、そして美しい姑を高峰秀子が演じています。研究を積み成功を重ねていく医師青洲に尽くす母と妻。華岡家の女たちの葛藤を描きます。
キネマ旬報ベストテン第5位
■あらすじ
加恵(若尾文子)は、美しく賢いと評判の青洲(市川雷蔵)の母・お継(高峰秀子)に憧れていた。そのお継にぜひと望まれて、遊学中の青洲が不在のまま、華岡家の嫁となる。しかし、医家の妻となるために励む加恵とお継の関係は、青洲の帰郷によって大きく変化する。麻酔薬の研究に打ち込む青洲に、その身を差し出して実験を願い出る母と妻。青洲は二人に薬を与えるが、その結果は・・・
■みどころ
青洲が帰ってきたその日から一変する妻・加恵の心。よい姑よい嫁を装いながら対立する二人。青洲は二人の様子をどう見ていたのでしょうか。一人の「男」をめぐる恐ろしいほどの「女」の争い、それを見ていた青洲の妹小陸(渡辺美佐子)の最後の言葉にも注目です。
麻酔薬のない時代の外科治療、動物実験は、重く暗く痛さをもって伝わってきます。華岡家の庭で、毒草「曼陀羅華」の白い花が強く美しく咲き乱れる映像は、特に心に残ります。
「伊豆の踊子」
こんにちは、グランシップサポーターSです。
10月20日(土)・21日(日)に開催される「グランシップ懐かしの映画会」の中から「伊豆の踊子」を紹介いたします。
「伊豆の踊子」1963年 日活作品 87分
原作:川端康成、監督:西河克己、脚本:三木克巳、西河克己、
撮影:横山実、音楽:池田正義、美術:佐谷晃能
出演者:吉永小百合、高橋英樹、大坂志郎、浪花千栄子、十朱幸代、南田洋子、浜田光夫、宇野重吉
■解説
日本人初のノーベル文学賞受賞作家・川端康成による同名小説を映画化したもの。本作品は4度目の映画化になります。宇野重吉扮する大学教授・川崎が回想する形式で、現在を白黒、過去をカラーで使い分けています。踊子・薫を吉永小百合、若き日の川崎を高橋英樹が演じています。
伊豆の大自然を舞台に、旅の途中で出会った学生と踊子との淡い恋を描く文芸ロマンス。
■あらすじ
大学教授の川崎(宇野重吉)は、教え子の男子学生(浜田光夫)から結婚をしたいので、仲人になってほしいと相談を受ける。その男子学生の相手がダンサーであることを知った川崎の胸に、かつて旅芸人の踊子に淡い恋心を寄せた青春の思い出が甦る。あてのない一人旅を続けていた学生の川崎(高橋英樹)は、伊豆で旅芸人の一行と出会う。その中に少女の踊子・薫(吉永小百合)がいた。あどけなさを残す純真無垢で天真爛漫な薫に惹かれる川崎。薫も川崎に思いを寄せるが、身分の違う2人にはやがて別離が訪れる。
■みどころ
何といっても、吉永小百合が絶品です。
大人になりつつあるのに、精神的にはまだまだ幼い踊子の薫。
近所の子ども達と一緒になって、元気よく遊ぶはつらつとした姿。
同じ年頃の少女が、病に伏しているにも拘らず、客をとらされている現実を目の当たりにする場面。
好意を持っている川崎と、真剣に五目並べをしていて、ふと目があった瞬間。
川崎との道中が嬉しくて楽しくて、山道を走り回って息切れしているのに明るい笑顔。
川崎への思いが「ちょっと気になる」から「大好き」に変わり、「大好き」だから「諦める」に変わる。
一つの幼い恋を通して少女から大人の女性に変化してゆく薫。
情がとても豊かで、その時々の踊子・薫の心情がよく伝わってきます。
やはり、吉永小百合はスゴイ!!
また、この作品は回想場面の時代背景が現在とはあまりにもかけ離れていて、非常に驚きます。
学生と踊子の身分の差、旅芸人に対する世間からの差別、はなはだしい男尊女卑。
現在の川崎教授が教え子の結婚相手を見て何を思うのか、映画を観終わってから考えてしまいます。
会場内では静岡市の福祉事業所によるお菓子の販売や、お弁当、関連書籍の販売も。
(昨年の様子)
映画と併せてお楽しみください。
ロビーには映画に関する展示も。
みなさまのご来場をお待ちしております。
昨年の様子写真
撮影サポーター:杉山美矢子、平尾正志、山崎庸夫
グランシップ懐かしの映画会
日時
2018年10月20日(土)・21日(日) 10:30~、13:00~
会場
中ホール・大地
料金
全席自由/1日券1,000円、2日通し券・ペア券1,500円、
こども・学生500円(未就学児無料)
※こども・学生は28歳以下の学生
プレイ
ガイド
グランシップチケットセンター TEL.054-289-9000
10/20(土)~21(日)グランシップ懐かしの映画会 上映作品紹介【 稲妻・にごりえ編】
2018年10月05日(金)
10/20(土)~21(日)に開催するグランシップ懐かしの映画会 上映作品について、グランシップサポーターがご紹介いたします!
「稲妻」
こんにちは、グランシップサポーターのOです。
今年の「グランシップ懐かしの映画会」は日本映画黄金時代を代表する名監督と名女優がコンビを組み、日本文学の傑作を映画化した4作品を上映します。
今日は、10月20日(土)に上映される「稲妻」を紹介します。
「稲妻」1952年 大映作品 87分
監督:成瀬巳喜男、原作:林芙美子、脚本:田中澄江、音楽:斎藤一郎
出演者:高峰秀子、浦辺粂子、村田知英子、三浦光子、丸山修、植村謙二郎、小沢栄、香川京子、根上淳
■解説
名匠・成瀬巳喜男と昭和の名女優・高峰秀子がコンビを組んだ、二人の代表作品。
「めし」、「浮雲」、「放浪記」をはじめ、生涯で6本も手がけた林芙美子原作映画の1つ。音楽を担当した斎藤一郎のピアノによる流麗なテーマ曲が随所に流れ、ドラマチックに演出されている。1952年(昭和27年)キネマ旬報ベストテン第2位。
■あらすじ
東京の観光バスの案内嬢として働いている清子(高峰秀子)は、家族と下町に住んでいる。彼女には、兄と2人の姉がいるが、4人とも父親が違い、母・おせい(浦辺粂子)の生き方が理解できないでいる。兄・嘉助(丸山修)は未だ定職もなく家にいる。次姉・光子(三浦光子)は、突然亡くなった夫に愛人と子供がいることが分かり、生活費を要求される。長女・縫子(村田知英子)は、清子に縁談をもってくるが、清子は金儲けに利用しようとする姉夫婦のたくらみがわかり、話を進める気にならない。
こうした姉達の身勝手さが引き起こす痴情のもつれと、家庭内のいざこざに嫌気がさして、清子は家を出て下宿することを決心する。
■みどころ
兄・姉たちの欲の絡んだ身勝手な言動と軋轢を成瀬監督は冷静かつリアルに、時にはダイナミックに表現しています。成瀬監督は清子の目線で描き出し、清子を演じきった高峰秀子の演技力と凛とした美しさが際立っています。また、昭和20年代後半の東京下町の木造建築の家並みや路地、物売りの声や生活の音は懐かしく、郷愁を誘います。
清子の下宿先の隣に住む兄妹(根上淳、香川京子)の清々しさに、清子は安らぎを覚えます。特に妹役の香川京子は初々しく清楚で好印象です。
清子と母・おせいが家族の宿命を泣きながら罵り合い、ようやく母と娘、互いの生き方を理解できた二人に、稲妻が2筋閃く場面は印象的であり感動的です。
「にごりえ」
こんにちは、グランシップサポーターのWです。
今回は10月20日(土)~10月21日に開催する「グランシップ懐かしの映画会」から「にごりえ」を紹介いたします。
「にごりえ」1953年 新世紀映画社 130分 <画像>
原作:樋口一葉、監督:今井正、脚色:水木洋子・井手俊郎、
撮影:中尾駿一郎、音楽:団伊玖磨
出演者:
第一夜「十三夜」田村秋子、丹阿弥谷津子、三津田健、芥川比呂志
第二話「大つごもり」久我美子、中村伸郎、長岡輝子、荒木道子、仲谷昇
第三話「にごりえ」淡島千景、杉村春子、山村聡、宮口精二
■解説
第27回キネマ旬報ベストテン第1位
明治の女流作家・樋口一葉の短編小説『十三夜』『大つごもり』『にごりえ』の3編を原作とするオムニバス映画です。
■あらすじ
『十三夜』
ある名家に嫁いだおせき(丹阿弥谷津子)は中秋の名月の晩、息子を残して里帰りする。夫の冷たさを涙ながらに語る娘に、母・もよ(田村秋子)は同情を寄せるが、父・主計(三津田健)は子どもや学費を援助してもらっている弟のためにも辛抱すべきだと、なだめて追い返す。その帰り、女一人の夜道は危険と頼んだ人力車の車夫は、かつて彼女に思いを寄せていた幼友達・録之助(芥川比呂志)だった。今は落ちぶれた車夫ではあったが、2人はかつての思いを秘めたまま別れて行く。
『大つごもり』、『にごりえ』につきましては、是非劇場にてお確かめください。
■見どころ
当時(昭和30年代)活躍されていた名女優達を中心に、多くの方が参加し、製作された作品群で、容姿は勿論のこと、その演技力と技量を余すところなく映し出しています。また今井正監督のカメラワークや緊張感溢れる間の持たせ方など、当時の機材を駆使して撮影された内容には目を見張るものがありました。
そしてこの3部作は、それぞれの作品を通して、原作者・樋口一葉の感性から描かれる、それぞれの立場においての愛情表現のかたちや、金銭的価値観、はたまた執着や食・命に関するものを描き出した作品であり、観る者にそれぞれの作品のその後を考えさせる作品でもありました。
次回のご紹介は、10/8(月・祝)に「華岡青洲の妻」・「伊豆の踊子」をお届けします!
グランシップ懐かしの映画会
日時
2018年10月20日(土)・21日(日) 10:30~、13:00~
会場
中ホール・大地
料金
全席自由/1日券1,000円、2日通し券・ペア券1,500円、
こども・学生500円(未就学児無料)
※こども・学生は28歳以下の学生
プレイ
ガイド
グランシップチケットセンター TEL.054-289-9000