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映像美の巨匠・市川崑の世界をフィルムで!
グランシップ懐かしの映画会

日時 2017年10月21日(土)10:30~12:14「野火」/13:00~14:52「おはん」
10月22日(日)10:30~12:14「ぼんち」/13:00~15:49「東京オリンピック」
会場 中ホール・大地
料金 全席自由/1日券1,000円、2日通し券1,500円、ペア券1,500円、こども・学生500円
※こども・学生は28歳以下の学生
※2日通し券、ペア券はWEBでの購入はできません。
主催 グランシップ優秀映画鑑賞推進事業実行委員会、公益財団法人静岡県文化財団、文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター
後援 静岡県教育委員会、静岡市教育委員会
協力 木下グループ、株式会社オーエムシー
問合せ グランシップチケットセンター TEL.054-289-9000


「東京オリンピック」(1965年 カラー 169分)

「おはん」(1984年 カラー 112分)

「ぼんち」(1960年 カラー 104分)

スクリーンを通して映像芸術の原点となる映画の素晴らしさをお伝えするグランシップサポーター企画「グランシップ懐かしの映画会」。今回は映画監督・市川崑の代表作4作品をフィルムで上映します。
会場内では静岡市の福祉事業所によるお菓子の販売や、お弁当、関連書籍の販売も。映画と併せてお楽しみください。

【上映スケジュール】
■10月21日(土) 10:00開場
10:30~12:14 「野火」
13:00~14:52 「おはん」
グランシップサポーターによる作品紹介はこちらから!

■10月22日(日) 10:00開場
10:30~12:14 「ぼんち」
13:00~15:49 「東京オリンピック」

※フィルムの状態により、音声や映像に乱れが出る場合がございます。あらかじめご了承ください。

10/22(日)10:30~12:14「ぼんち」(1960年 大映(京都) カラー)

原作は、山崎豊子が「週刊新潮」に長期連載をした小説であり、原作者が得意とする大阪の商人ものの一編である。舞台は大阪・船場。四代続いた裕福な足袋問屋の一人息子が、女系家族の中で甘やかされ、それゆえに悪戦苦闘する姿が、多彩な女性関係を中心にして年代記風に描かれている。映画では、60歳近くになった主人公が、戦争による苦難をようやく乗り越え、家の再建を図ろうとするにあたり、昔のあれこれを回想するという形式が採られている。そこに登場するのは、自分を溺愛した祖母や母のみならず、これまで関係したさまざまな女性たちである。彼女らを演じるのは、ベテラン、演技派、若手まで、みな当時を代表する個性的な映画女優であり、その競演が一つの見どころであると言えよう。また、主演の二枚目時代劇スター・市川雷蔵は、市川監督の『炎上』(1958)で初めて現代劇に出演、その演技力が注目されたが、ここでは老け役に初挑戦している。

10/22(日)13:00~15:49「東京オリンピック」(1965年 東京オリンピック映画協会 カラー)

1964年10月10日から24日まで開催された第18回オリンピック東京大会は、スポーツによる国際交流の場を通して、わが国が世界にその復興を示した国家的規模の一大行事であったと言えるだろう。この作品はそのメモリアル・フィルムとして市川崑総監督以下、561人のスタッフが結集して製作され、翌年公開されるや空前の観客動員を記録し、12億を超える配給収入を上げた話題作である。また、その際に「記録か芸術か」という問題を提起し、様々な議論を巻き起こしたことも忘れられない。それは、この作品がスポーツの勝敗よりも、スポーツをする「人間」により多くの描写を費やしたためとも言えるのだが、これはこれで作家市川崑としての一貫した姿勢でもあった。結果は、カンヌ国際映画祭批評家協会賞受賞、「キネマ旬報」ベストテン第2位選出にも表れている。

開催レポート

10/21(土)・22(日)「グランシップ懐かしの映画会」を開催しました。

10/21(土)・22(日)の2日に渡り「グランシップ懐かしの映画会」を開催しました。

こちらの企画はグランシップの企画事業の運営を支えるボランティアスタッフであるグランシップサポーター(ただいま募集中!)が主導する企画で、今回は日本映画の巨匠・市川崑監督による名作映画4本をフィルムで上映しました。

会場の外に設置した幕や、上映作品や監督・俳優に関する展示はグランシップサポーターからなる映画会実行委員会によるもの。

事前にメンバーで打ち合わせを重ね、準備をして上映日を迎えました。

また、22日(土)にドキュメンタリー映画「東京オリンピック」を上映するということで、今となっては貴重な当時のパンフレットやサポーターが自身で撮影した聖火リレーの写真も展示。サポーターが説明をする一幕も。

今回はフィルムでの上映ということも見どころの一つ。フィルムならではの味わいを感じていただけたと思います。

また、会場内にはお菓子やお弁当の販売のほか飲食スペースもご用意。台風の到来と重なりお天気は今ひとつでしたが、ご来場いただいたお客様には、映画はもちろん展示やお買い物もお楽しみいただけたのではないでしょうか。

グランシップでは来月11月18日(土)にグランシップサポーターによる「グランシップ懐かしの映画会 洋画劇場」を開催します。

こちらでは西部映画の名作「駅馬車」と、小さなお子様も楽しめる「チャーリーとチョコレート工場」の2本を2階映像ホールで上映します。ミニコンサートやたんけんツアー等、劇場を家族で学びながら楽しめるグランシップオープンシアターデーと併せてお楽しみください。

 
写真:グランシップ撮影サポーター 杉山美矢子、平尾正志、山崎庸夫





「グランシップ懐かしの映画会」上映作品をご紹介!【後編】

2017年10月17日(火)

こんにちは、グランシップサポーターのOです。
今週末開催の「グランシップ懐かしの映画会」では、市川崑監督の「野火」「おはん」「ぼんち」「東京オリンピック」の4作品を上映します。
今回は10月22日(日)に上映される「ぼんち」と「東京オリンピック」を紹介します。

「ぼんち」(1960年/大映作品/104分)

原作:山崎豊子
脚本:和田夏十、市川崑
音楽:芥川也寸志
撮影:宮川一夫

作家・山崎豊子の得意な大阪商人もの「ぼんち」を映画化した作品。市川雷蔵を主演に迎え、若尾文子、草笛光子、越路吹雪、京マチ子、中村玉緒、山田五十鈴、毛利菊枝、船越英二、中村鴈治郎など、錚々たる名優達が出演しています。

■あらすじ
大阪船場の足袋問屋、河内屋の一人息子喜久治(市川雷蔵)は自由気ままに育った。河内屋は女系家族で祖母(毛利菊枝)と母(山田五十鈴)が実権を握り、父(船越英二)は入り婿で頭が上がらない。喜久治の放蕩が目に付くようになり、祖母と母の勧めで弘子(中村玉緒)を嫁にもらうが、祖母と母は何かと”しきたり”を口に、嫁いびりをする。我慢ならなくなった弘子は病気と偽り実家に帰り、男の子を生んだ。そして、弘子はしきたりに合わないと離縁される。やがて、父が病死し、河内屋5代目を引き継いだ喜久治は、商売に精を出す傍ら、芸者のぼん太(若尾文子)や幾子(草笛光子)、女給の比紗子(越路吹雪)、仲居頭のお福(京マチ子)と次々関係を持つ。しかし、戦争が間近に迫っていて・・・・

■みどころ
時代劇スターとして人気の高い市川雷蔵が演じる足袋問屋の一人息子喜久治が「ぼんぼん」として育ち、次第に「ぼんち」として成長していく姿を飄々として演じています。また、若手・ベテランの女優達が、個性豊かに喜久治と華麗なる関係を面白おかしく演じていて楽しみです。美術の村木忍の日本家屋の端正な美しさと、撮影の宮川一夫のカメラワークが一体となり素晴らしい映像美となっています。

「東京オリンピック」(1965年/東京オリンピック映画協会=東宝/169分)

・キネマ旬報ベストテン第2位・カンヌ国際映画祭・国際批評家賞・青少年向き最優秀映画賞
・モスクワ国際映画祭・スポーツ連盟賞

1964年10月10日~24日に日本で開催された第18回東京オリンピック大会の記録映画です。市川崑総監督がメガホンをとりスタッフ総勢561名を動員して製作した監督初のドキュメンタリー映画で、ニュース映画・劇映画のカメラマンがハイスピード撮影、1600ミリの超望遠レンズ等を駆使して撮影しました。競技の記録より人間の記録として捉えたため「記録か芸術か」の論争を巻き起こしましたが、映画としては国内外ともに高く評価されました。

■あらすじ
戦後の荒廃から復興を成し遂げた日本は平和国家の象徴としてスポーツの祭典オリンピックを召致し開催国に選ばれる。国立競技場や選手村の建設、東海道新幹線の開設や交通網の新設、整備など国を挙げてオリンピックの開催に備えた。8月、ギリシャ・オリンポスの丘で点火された聖火は、中東、東南アジアをリレーされて沖縄、広島、富士山の裾野を通過し東京へ。10月10日の国立競技場の開会式は晴天に恵まれ、約7万5千人の観衆がひしめきあい、参加94か国、7500人の選手・役員の整然として圧巻の入場行進が始まった。観衆・選手が見守る中、聖火が聖火台に点火され、アジア初のオリンピック東京大会の感動と興奮の15日間が開幕する。

■みどころ
開会式は整然とした行進、各国の服装はフォーマルあり民族衣装ありでカラフル。特に日本の赤のブレザーは圧倒的な存在感です。聖火が聖火台に点火される瞬間は感動的です。
競技者の鍛えられた体、動作だけでなく癖や表情まで良くとらえられていて、ひとりひとりのアスリートにぐっと親近感がわきます。
競技では棒高跳びのハンセン(米)とラインハルト(独)の決勝戦は9時間に及び、オリンピック史に残る名勝負でした。柔道の無差別級決勝戦では身体の大きなオランダ代表のヘーシンクと日本代表の神永昭夫がぶつかりました。体操女子総合ではチャスラフスカ(チェコ)が優美な姿態と演技で他を圧倒します。「鬼の大松」率いる日本女子バレーボールは「東洋の魔女」と呼ばれ、強敵ソ連を破り優勝します。そしてオリンピックの最後を飾るマラソンではローマの覇者ビキラ・アベベ(エチオピア)が圧倒的な強さで大会の最後を飾ります。

映像美の巨匠・市川崑の世界をフィルムでお楽しみいただける貴重な機会です。

当日は、お弁当やお菓子販売もありますので、こちらもぜひお楽しみください。





「グランシップ懐かしの映画会」上映作品をご紹介!【前編】

2017年10月13日(金)

こんにちは。グランシップサポーターのOです。
10月21日(土)・22日(日)に開催する「グランシップ懐かしの映画会」では、市川崑監督の「野火」、「おはん」、「ぼんち」、「東京オリンピック」の4作品を上映します。
今回は、10月21日(土)に上映される「野火」と「おはん」を紹介します。

「野火」(1959年/大映作品/104分)

原作:大岡昇平
脚本:和田夏十
音楽:芥川也寸志
・キネマ旬報ベストテン第2位・脚本賞(和田夏十)・男優賞(船越英二)
・ロカルノ国際映画祭グランプリ・バンクーバー国際映画祭カナダ映画協会賞受賞

作家・大岡昇平の戦争体験を基にした小説「野火」を脚色し映画化した作品。太平洋戦争末期のレイテ島で司令部に見放され、極限状態になる部隊と兵達の悲惨な姿を一人の兵士の目を通して描きます。

■あらすじ
戦場で肺炎にかかり野戦病院で療養していた田村(船越英二)は部隊に復帰するが中隊長に食糧不足でおいておけない、病院に帰れと追い出された。病院に戻ると、歩ける元気があるなら部隊に帰れと厄介払いされてしまう。途中、立ち上る煙(野火)は、不吉な予感を醸し出している。病院の周りの森には同じように行く当てのない疲弊した兵士たちがあちこちにたむろしていた。さまよううちに、永松(ミッキー・カーチス)と安田(滝沢修)という2人の敗残兵に出会う。次の日、病院は砲撃にあい、殆どの兵が犠牲になってしまった。田村はなんとか生き延びて一人密林を彷徨い歩きはじめるが・・・

■みどころ
集合地パロンポンを目指して各部隊は移動を始めます。食料もなく武器弾薬もない兵達は風雨や米軍の銃撃にさらされ、食料不足で飢餓状態になりバタバタと倒れていきます。極限状況に追い込まれた兵達(人間)は何を考え、どんな行動を起こすのでしょうか。この映画は観る者に問いかけます。

「おはん」(1984年/東宝作品/112分)

原作:宇野千代
脚本:市川崑、日高真也
・キネマ旬報ベストテン第6位・主演女優賞(吉永小百合)
・第8回日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞(吉永小百合)

作家・宇野千代の昭和文学の古典的名作「おはん」の主人公に吉永小百合を据え映画化しました。タイトルバックに歌手五木ひろしが唄う主題歌が流れたり、マーラーの交響曲第5番第4楽章を音楽に使うなど監督独特のアイデアが盛り込まれています。

■あらすじ
幸吉(石坂浩二)はおばはんの軒先を借りて古物商を営みながら妻のおはん(吉永小百合)と暮らしていた。しかし芸者のおかよ(大原麗子)と幸吉が深い仲になり、おはんは実家へ身を引く。7年が経って、幸吉はおかよの芸者家に住みついていた。おばはんの使いで街に出た幸吉はおはんに再会し、おはんに幸吉の子どもがいたことを知る。その日をきっかけに、幸吉はおかよの目を盗んでおはんと逢瀬を重ねるようになった。ある日、幸吉の店にゴム毬を買いに来た男の子がいた。その子は幸吉とおはんの息子の悟だった。おかよと別れ3人で暮らそうと決意する幸吉に、悲劇が待ち受けていた・・・

■みどころ
かつての青春映画のヒロインだった吉永小百合が、したたかさを秘めつつ耐え忍ぶ大人の女性を演じ大女優としての評価を得ます。石坂浩二、大原麗子も負けず劣らずの演技を発揮し、この映画を名作として引き立てます。また、ミヤコ蝶々が幸吉とおはんの逢瀬を取り持つおばはんとしてベテランの味を発揮しています。衣裳製作は三松、昭和初期のロマンを感じさせる美しい和装も必見です。

次回は2日目に上映する「ぼんち」、「東京オリンピック」を紹介します。

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