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ふじのくに文化情報センターがおくる
グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』
日時 |
2017年3月19日(日) 第1回 10:00~/ 第2回 13:30~ 3月20日(月・祝) 第3回 13:30~ |
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会場 | 会議室910 |
料金 |
●1回につき 一般500円 学生300円 ●3回通し券 一般1,200円 学生700円 高校生以下無料 ※事前申込制、当日支払 ● 3回全てご参加いただいた方には、第3回の終了時に、修了証をご用意いたします。
●ランチセッション: 無料 (参加人数限定:先着順) ※第1回、第2回両講座参加者の特典につき、講座申し込みと併せてお申し込みください。 定員になり次第締め切ります。 |
主催 | 公益財団法人静岡県文化財団/静岡県 |
後援 | ムセイオン静岡 |
問合せ | グランシップチケットセンター 054-289-9000 |
ふじのくに文化情報センターがおくる2日間連続の文化講座。
わたしたちの暮らす静岡県における人口問題と、それを取り巻く課題を学びます。
「 人口について知ることは、社会そのものについて知ること 」がキーワードです。
漠然とした不安を案じても仕方がありません。
『 どんな未来にしたいか 』 を考えます。
また、ランチセッション(希望者先着順)では、講師とお話できます!
進学、就職を控えた学生の皆さんも、自分たちの未来について一緒に考えませんか?ぜひご参加ください。
コーディネーター:鬼頭 宏(静岡県立大学学長)
講師:鬼頭 宏(静岡県立大学学長)
3月19日(日) 10:00~
第1回講座では、そもそも人口問題とはどんな問題なのか?を学びます。
現代社会を読み解こうとするとき、なによりもまず、現代社会が直面している人口問題の本質を知ることが必要です。人口変動は社会のあり方を変化させます。暮らしに直結することなのです。人口という「数字」をベースに社会を読み解いていきましょう。
3月19日(日) 11:45~13:00 (準備時間含む)
昼食をとりながら、講師とテーマについて話を深めましょう!
学生のみなさん、めったにないこのチャンスにぜひお申し込みください!
人口問題において、「住む場所の魅力」は大きく関係します。
出身や住んでいる地域の異なる講師3人を含めた参加者全員で、「静岡県の魅力」について話し合います。
「別の地域に住んだからこそわかる、静岡の魅力」「もっとこうすれば静岡に住み続けるのに!」といった提案など、お昼を食べながら、ざっくばらんにどうぞ。
※ランチセッションは、第1回、第2回、両講座参加者の特典です。講座申し込みと併せてお申し込みください。
※ランチセッションの参加費は無料です。
また、昼食を持参される場合も、昼食会場となる会議室はご用意いたします。
講師:白井 千晶(静岡大学人文社会科学部教授)
3月19日(日) 13:30~
第2回講座は、結婚、家族をめぐるこれまでと、これからの考え方について学びます。
女性の社会進出により、「結婚しない」選択や、子育てにおいては過去とは異なる支援のニーズが出てきています。子育てを社会全体で支えるとはどんなことなのか?人口問題を語る上ではずせない「こども」について、男性も女性も一緒に考えましょう。
講師:岸 昭雄(静岡県立大学経営情報学部講師)
3月20日(月・祝) 13:30~
第3回講座では、これまで学んだ人口問題において、静岡県の人口減少や流出にかかるデータを用いて、私たちの生活に及ぼす影響を学びます。
県内外各地の取り組み、地域住民や学生の参加例の紹介を踏まえ、価値観が多様化する現代において自分たちの地域をどうしていくかを考えるきっかけとします。
コーディネーター/講師 : 鬼頭 宏
静岡県立大学 学長。静岡県生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。 上智大学経済学部教授を経て、2015年より現職。
静岡県人口減少問題に関する有識者会議 座長。美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議委員などを務める。
主な著書は、『人口から読む日本の歴史』(講談社)、『2100年、人口3分の1の日本』(メディアファクトリー)、『愛と希望の「人口学講義」』(ウェッジ)など。
講師 : 白井 千晶
静岡大学人文社会科学部社会学科教授。
専門は家族社会学・医療社会学。
静岡県社会福祉審議会委員、静岡県「人づくり・学校づくり」実践委員会委員。
全国養子縁組団体協議会代表理事、養子と里親を考える会理事。
主著に『産み育てと助産の歴史』(医学書院/編著)、『不妊を語る』(海鳴社)、『子育て支援 制度と現場』(新泉社/共編著)、『世界の出産』(勉誠出版/共著)等。
講師 : 岸 昭雄
静岡県立大学経営情報学部、大学院経営情報イノベーション研究科講師。
公共政策の費用対効果分析や、都市経済学をベースとした公共政策に伴う企業や家計の立地分析を専門に研究を行っている。
その専門性を生かして、静岡県や県内自治体の総合計画、交通計画等の策定に関わる審議会、委員会に委員として参加し、少子高齢化、人口減少社会における地方都市の政策に関与している。
開催レポート
人口問題から未来を発明する
2017年03月03日(金)
3月19日(日)・20日(月・祝)の2日間にわたり開催するグランシップ文化講座「人口問題から未来を発明する」
独特のタイトルは、今を生きる私たちのまわりで、“現実に起こっていること”や“その何が問題なのか”を知り、その上で、私たちが「どんな未来にしたいか」を講師も受講生も一緒になって考える、という今回の企画をワンフレーズに凝縮しています。
先日、鬼頭先生と打ち合わせをしてきました。
ランチセッションでは、鬼頭先生はもちろん、白井先生、岸先生もご参加いただいてお昼を食べながらざっくばらんにお話しできます。直接声の届く距離で、ということで、人数限定となりますが、まだランチセッションのお申込も受け付けておりますので参加希望の方はふるってお申込ください。
この講座の広報をする中で、ある高校の校長先生は、
「今の時代は、推薦入試やAO入試の割合が非常に高い。4割を超えるとも言われている。こういう問題は小論文のテーマなどで非常に取り上げられやすいし、高校生がこの問題について、日本の第一人者でもある鬼頭先生から学ぶのは、進学・就職の上ですごく役に立つんじゃないかな。」
とおっしゃっていました。
「人口について知ることは、社会そのものについて知ること」
をキーワードに、第1回講座では、現代社会が直面している人口問題の本質を知り、第2回講座では、結婚、家族をめぐるこれまでと、これからの考え方について学び、第3回講座では、これまで学んだ人口問題において、静岡県の人口減少や流出にかかるデータを用いて、私たちの生活に及ぼす影響を学びます。
価値観が多様化する現代において自分たちの地域をどうしていくか、自分ならどうするか?一緒に考えてみませんか?
グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』の1日目が行われました。
2017年03月19日(日)
3月19日(日)
本日はグランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』の1日目でした。
第1回 「人口問題の由来と本質」
講師:鬼頭 宏(静岡県立大学学長)
ランチセッション
第2回 「パートナーシップ・親子からみた人口問題」
講師:白井 千晶(静岡大学人文社会科学部教授)
本日は以上のラインナップ。
ふじのくに文化情報センターの平野センター長から、“文化講座について”と講師をご紹介いただき講座がスタート!
鬼頭先生から、歴史的な背景も踏まえて、そもそも人口問題とはどんな問題なのかを学びました。
お昼にランチセッションを開催。
3グル―プに分かれてお弁当を食べながら静岡県の魅力について議論を深めます。
各グル―プ話が盛り上がり、時間が足りないくらいでした。
午後は、白井先生より、子育てを社会でささえるとはどんなことなのかを学びました。
そして鬼頭先生に再びご登壇いただき、白井先生とのトークセッションです。
会場の14歳の受講生からも、先生方に質問がありました。
「まだ、政治などに参加できない私たちはどうしたらいいでしょう?」
先生方からは、「ぜひ、友達と自分が思っていることについて話してください。」「それから、第3の場所を持つといいですよ。」ともアドバイスがありました。
ひとつ目は家、ふたつ目は学校、あるいは職場。第3の場所としてカフェでもいいし、どこでもいいのです。
グランシップふじのくに文化情報センターは、みなさんの第3の場所にもなれるようこれからも邁進してまいります!
明日も引き続き、
第3回 「人口移動の現状と未来の地域社会」
講師:岸 昭雄(静岡県立大学経営情報学部講師)
3月20日(月・祝) 13:30~(開会30分前より受付)
を行います。
岸先生の講義のあと、再び鬼頭先生にご登壇いただき、岸先生と鬼頭先生のトークセッションもありますので、本日聞き逃された方も、ぜひご来場ください!お待ちしております。
参加した高校生による開催レポート
《高校生による》グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』開催レポート①
第一回 「人口問題の由来と本質」 静岡県立吉原高等学校 広報部新聞班
第一回講座では「人口問題の由来と本質」というテーマのもと、静岡県立大学学長、鬼頭宏先生が講話をしてくださった。
講義では、2010年のピーク以降、減少傾向にある国内総人口に視点が置かれ、人口の減少は私たちにとって悪いことなのか、それを生み出している現状こそが問題なのではないだろうか、という鬼頭先生の考えに基づき、これまでとは異なる視点から人口問題について考えることとなった。
ここで、国内の人口減少に大きく関わっているとして取り上げられた問題が、少子高齢問題だ。少子高齢「問題」というが、長生きができるようになったこと自体はむしろ喜ばしい事であり、医療の発達の証である。しかし、40年後には2.5人に一人が高齢者であると予測され、年金問題など誰がこれからの高齢者を支えていくのかといった問題が起こる。
また、東北地方や九州の一部の地域では、2040年までに20~39歳までの女性が50%以上減少すると予測されており、このような事象が出生率を下げ、人口減少につながっていると考えられる。
こうした問題について、鬼頭先生は日本の少子化を起こるべきして起こった必然的なものだという考え方を示した。出生率の低下はいわば国家が豊かであるからこそであり、人口爆発による資源・環境問題の深刻化による静止人口実現への取り組みが、「子宝」という概念を無くしてしまったこと、また家族制度の変化によって生まれた出産に対する抑制意識などが少子化へ繋がっているのだ。
世界的に見ても先進国を中心に少子化が進んでいる。特に1974年の第一次石油危機や国連世界人口会議を背景とした70年代半ば以降の出生率の低下は著しい。こうした事象がきっかけで「静止人口」の実現を世界的に目指したものの、その後予想される人口減少の流れをどのように止めるかのシナリオを考えていなかったがために、現在も減少が続いているのだという。
また、歴史人口学を専門とする鬼頭先生ならではの、歴史的観点から人口減少を考えると、人口変化と文明システムには大きな関係がある。江戸時代に新たに生み出された技術は、やがて明治の文明となりそれらは現在の遺産として残されている。こうした新しい文明システムの転換が、人口増加へつながり、人口圧力が強まった結果、環境汚染や資源の枯渇が起こり、死亡率の上昇、出生率の低下を招く。歴史的に見るとこれらのサイクルが繰り返されているそうだ。
鬼頭先生は未来を発明するためには超高齢化社会や人口縮小社会への適応、また所得だけでなくそれぞれが 幸せに生きる幸福度による豊かさなどの実現、つまり「21世紀文明をデザインする」ことが必要であるという。
最後に、鬼頭先生は私たちに、これからどんな社会を作りたいか、2060年の日本をどんな社会にしたいと思うかを自分で見出すことが未来を発明することだとおっしゃった。
2060年、私は60歳を迎えてもなお、現役で働いているのだろう。
遠い先のことだがいずれやってくる未来がどうあってほしいのか具体的に考えるよい機会となった。
《高校生による》グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』開催レポート②
『ランチセッション』 富士市立高等学校 報道部
ランチセッションでは、世代も業種も異なる方々と3グループに分かれ、各講師の先生を囲んで積極的な話し合いが展開された。
テーマは静岡県の魅力発見。そのとっかかりとして、“静岡のここがキライ”をまず話すことに。
自己紹介をしながら、それぞれが考える静岡の課題をポストイットに書いて紹介した。
参加者のうち、山間部に住んでいる人からは交通の利便性について、最年少参加者の中学生からは、1クラスの人数についてなどその人達が各々置かれている場所や状況によって課題があるということが新鮮だった。考えてみれば、異なる環境にいる様々な世代の人々と静岡の課題を共有する機会が初めてだったからなのかも知れない。
高校生の意見に、真剣に耳を傾けてくれる壮年の方々の姿勢がとても嬉しかった。
どのグループでも共通して出てきた課題は雇用の創出や、長所でもあるややマイペース(?)な県民性だった。この文化講座に参加した動機もそれぞれだった。
定時制高校の教諭の方は、様々な家庭環境から来る生徒達への指導のヒントが欲しくて来たと語った。個人的には、同じ高校生が静岡の未来に課題意識を持って自ら参加したということに感動した。
まとめとして、ふじのくに文化情報センター平野雅彦センター長から、書家の武田双雲氏の言葉『~だからこそできること』(~部分はマイナスな要素)が紹介された。
一見不利と思える課題や要素を逆に魅力や強みに転換する発想が、地域の活性、そして人口問題の未来につながると感じることができた。
《高校生による》グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』開催レポート③
第2回「パートナーシップ・親子から見た人口問題」 静岡県立富士高等学校 新聞部
第2回講座では、白井千晶先生(静岡大学人文社会科学部教授)が、「パートナーシップ・親子から見た人口問題」と題して講演をしてくださった。
白井先生は家族社会学・医療社会学の専門の先生。詳しい解説を交えながら講義する「子育て」「子ども」についてのお話は、とても興味を持てる内容だった。
特に興味深いと感じたのは、男性の家事・育児時間が多いほど、出生率は高い傾向にあるということ。
先生の用意してくださった資料を見ると、世界各国、6歳未満児のいる夫婦で、夫が家事・育児にかける時間は、アメリカが2.6時間、イギリスが3.1時間、最も高かったカナダは3.9時間であった。これに対して、日本は世界で最も低く、わずか0.8時間。
近年、「イクメン」という言葉が流行する中で、未だに多くの日本人男性が、家事・育児に関わっていない事実は衝撃的だった。
もし男性が家事・育児に積極的になったら、夫婦の会話が増えて仲も良くなり、自然に「子どもは夫婦で育てる」という意識が持てるだろう。お互いに支え合い、助け合うことができれば、男性も女性も、仕事をしながら楽しく子育てができるはずだ。それはそのままの出生率の上昇につながるだろう。
さらに、日本には待機児童がまだ2万人以上もいる。この現状が続けば、働く女性は出産、仕事のどちらかを諦めざるを得なくなり、出生率も女性の進出率も下がってしまう恐れがある。そのような事態を防ぐためには、待機児童問題の改善は急務であると思う。
また、子育てを家族だけに任せるのは良くないと白井先生はおっしゃっていた。地域で、子どもの成長をあたたかく見守る取り組みを増やすことが必要だ。働く女性と子どもに優しい環境を整えることが、少子化問題を解決する第一歩になるのではないかと思った。
《高校生による》グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』開催レポート④
第3回「人口移動の現状と未来の地域社会」 静岡県立韮山高等学校 写真報道部
3月20日グランシップ文化講座『人口問題から未来を発明する』の第3回が行われました。
第3回は「人口移動の現状と未来の地域社会」をテーマとして、静岡県立大の岸昭雄先生からお話がありました。
先生はコンパクトシティによるまちづくりを提言し、少子高齢化・人口減少下での社会のあり方を提案。また、社会計画を立る上でその計画の影響を最も受けるのは若者たちだとし、若者のまちづくりへの積極的な参加の必要性も話しました。
講座終了後に行われた岸先生と静岡県立大学長の鬼頭先生のトークセッションでは多くの質問が会場からもあり、 大変な盛り上がりを見せました。
公益財団法人 静岡県文化財団・ふじのくに文化情報センターより
今回の文化講座は、高校生たちが自分たちの未来について考えるきっかけとなったようです。3人の講師の先生方や、ふじのくに文化情報センターの平野センター長と直接お話しできたことも、進学や就職を控えた若者たちの励みになり、今後について考える原動力にもなったと報告くださいました。
3回の全講座を受講された皆さんには、お名前入りの修了証をお渡ししました。
また、どんな分野のことでも、思っていることがあるなら、“友達と話してみる”ことや、そういう話をできる“場”を持つことも大事だと先生方に教えていただきました。グランシップ文化講座はテーマを変えて、29年度も開催予定です。ふじのくに文化情報センターは、今年度も地域で文化活動をする人たちに役立つ情報が提供される場、文化活動に関する情報や意見、アイディア等を相互に交換する場を皆さんと一緒に作っていきます。