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グランシップ「しずおかの文化新書」講演会 雲の上の研究所 ~富士山測候所の魅力と価値~

日時 2017年2月18日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場 2階 映像ホール
料金 500円 ※当日会場にてお支払いください
問合せ グランシップチケットセンター TEL.054-289-9000

大気が地上の影響を受けない自由対流圏に属する富士山頂は、大気化学、宇宙線・雷、高所医学などあらゆる研究・教育において非常に有効な観測地点として注目を集めています。
日本で一番高く、古代から親交の対象でもあった霊峰・富士山はまさに「宝の山」。
講師が科学研究や教育の立場からその恩恵を語ります。

講師:土器屋由紀子
コーディネーター:八木洋行(「しずおかの文化新書」編集長)

土器屋 由紀子(どきや ゆきこ)

東京大学農学部卒業、農学博士。東大、気象研究所、気象大学校、東京農工大学、江戸川大学などに勤務。主に学生とフィールドへ出かける研究に従事。
現在、認定NPO法人富士山測候所を活用する会理事。

開催レポート

2/18(土)しずおかの文化新書講演会「雲の上の研究所~富士山測候所の魅力と価値~」を開催しました。

2月18日(土)グランシップ2階の映像ホールにて、しずおかの文化新書講演会「雲の上の研究所~富士山測候所の魅力と価値~」を開催しました。

はじめに、「しずおかの文化新書」八木編集長から来場者の皆さまへご挨拶。

「しずおかの文化新書」では、21冊目となる最新刊も含め、様々なアプローチで富士山を紹介してきたことをお話しました。

そして、今回の講師で「しずおかの文化新書」最新刊「日本一の高所・富士山頂は宝の山~観測と信仰から読み解く霊峰の頂~」の執筆者の一人である土器屋由紀子さんが登場。

土器屋さんは気象庁に20年勤務した研究者で、現在は認定NPO法人富士山測候所を活用する会の理事でもあります。

かつては気象観測の要所として活躍し、気象レーダーが廃止となった後は無人化された富士山測候所。

しかし現在も、大気化学、高所医学や教材開発等、多岐にわたる分野の観測・研究施設として有効活用されていることがわかりました。

そして、富士山と、測候所の歴史も解説。信仰としての登山から、19世紀には測量やスポーツ登山が始まり、やがて本格的な気象観測へ踏み出しました。命がけの越冬気象観測に夫婦で挑んだ野中至夫妻の物語は小説となり、ドラマ化もされました。

そして太平洋戦争末期富士山頂に送電線がひかれ、1950年富士山測候所が誕生。台風の観測等、その機能を果たしました。

富士山頂に電気があるということがとても重要であること、そして過酷な環境での電気の敷設と維持の難しさが実体験と共に語られました。

測候所で観測すること以前に荷物の運び込みや職員が測候所にたどり着くことの大変さから、富士山測候所の「家賃」や研究や維持の資金に至るまで、様々な観点でお話ししていただきました。

後半は、八木編集長と講師によるトークセッション。海外の山岳地域における観測所の事例についても触れました。

当日の来場者の中には、なんと実際に富士山測候所に勤務をされていた方がいらっしゃいました。

富士山頂が勤務地だった当時の貴重なお話をお伺いできました。

講師曰く、「富士山測候所の観測はすぐには実用に結びつかないかもしれないが、いずれ防災や医学など人々の役に立つ日が来る。観測は続けることが大事。この貴重な測候所をなんとか維持していきたい。」とのことでした。講師の研究への熱い気持ちが伝わる講演会でした。

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