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良質な日本映画をフィルムで上映する「グランシップ懐かしの映画会」
今年は日本アニメの歴史を画した劇場用長篇映画の代表4作品を上映します!
2016年10月15日(土)
10:30~11:58(10:00開場)
「西遊記」 (1960年、演出 藪下泰司、構成 手塚治虫、東映動画 88分)
13:30~14:50(13:00開場)
「長靴をはいた猫」 (1969年、演出 矢吹公郎、東映動画 80分)
2016年10月16日(日)
10:30~11:52(10:00開場)
「太陽の王子 ホルスの大冒険」 (1968年、演出 高畑勲、東映動画 82分)
13:30~15:17(13:00開場)
「銀河鉄道の夜」 (1985年、演出 杉井ギサブロー、朝日新聞社=テレビ朝日=日本ヘラルド映画グループ 107分)
◆企画展示
フィルム映画や映写機の仕組みについての展示・紹介コーナーがあります。
◆休憩スペース
会場内には休憩スペースや福祉事業所によるお弁当やお菓子等の軽食販売、関連書籍販売があります。
作品紹介 「西遊記」「長靴をはいた猫」
■西遊記
[1960年 東映動画](カラー シネマスコープ 88分)
[スタッフ]
脚本 植草圭之助
演出 薮下泰司
〃 手塚治虫
企画 高橋秀行
〃 渾大防五郎
構成 手塚治虫
動画監修 山本早苗
原画 森康二
音楽 服部良一
[声の出演]
孫悟空 小宮山清
憐々 新道乃里子
猪八戒 木下秀雄
沙悟浄 篠田節夫
三蔵法師 関根信昭
小竜 白坂道子
牛魔王 巌金四郎
金角大王 川久保潔
銀角大王 風祭修一
[解説]
『白雪姫』(1962)の公開以降ディズニーの長篇アニメーションが国際的な市場を席巻するなか、世界有数の規模を誇る近代的な設備と大きな資本力でわが国の動画製作を刷新、アニメーション史上に一時代を築いた東映動画(1956年創立)初期の代表作の一つである。第1作『白蛇伝』(1958)、第2作『少年猿飛佐助』(1959)に続き、ヴェネチア国際映画祭で連続受賞している。手塚治虫の漫画(「ぼくのそんごくう」)を原作としてとりあげた点で画期的な作品であり、黒澤明監督の『酔いどれ天使』(1948)などで知られる植草圭之助を脚本に招くなど野心的な試みがなされている。製作面にも大きく関与した手塚治虫は、後に自らのプロダクション「虫プロ」を設立、アニメーションの世界に積極的に乗り出すことになる。
■長靴をはいた猫
[1969年 東映動画](カラー シネマスコープ 80分)
[スタッフ]
原作 シャルル・ペロー
脚色 井上ひさし
〃 山元護久
演出 矢吹公郎
作画監督 森康二
製作 大川博
音楽 宇野誠一郎
美術 浦田又治
〃 土田勇
[声の出演]
ペロー 石川進
ピエール 藤田淑子
ローザ姫 榊原ルミ
殺し屋 水森亜土
ネズミのチビ 水垣洋子
ネズミの首領 熊倉一雄
魔王 小池朝雄
[解説]
東映動画製作の長篇アニメーション。シャルル・ペローの童話をもとに、井上ひさしと山元護久が脚本を書き、ギャグ監修に中原弓彦こと小林信彦を起用した豪華な布陣で製作された、東映動画の代表作の一つ。井上ひさしと小林信彦が後に作家として知られることは言うまでもない。その特徴は愉快なギャグとアクションの連続にあり、教訓めいたメッセージが排除されている点にある。猫のペローが家を追い出されたピエールを助けて、国王の娘ローザ姫の婿に売りこむが、魔王ルシファがローザ姫に目をつけて、彼女を奪って城に監禁する。この姫の救出場面が大きな見せ場となる。高い城、その上にそびえる塔、周り階段、吊り橋などを用いた戦いに次ぐ戦い、朝日に溶けていく魔王、その光のなかを落下していくローザ姫とペロー。その二人を鳩の群が救い上げるという場面の連続は、アニメーションならではの醍醐味である。
作品紹介 「太陽の王子 ホルスの大冒険」「銀河鉄道の夜」
■太陽の王子 ホルスの大冒険
[1968年 東映動画](カラー シネマスコープ 82分)
[スタッフ]
脚本 深沢一夫
演出 高畑勲
作画監督 大塚康生
美術 浦田又治
場面設計 宮崎駿
原画 森康二
音楽 間宮芳生
[声の出演]
ホルス 大方斐紗子
悪魔グルンワルド 平幹二朗
悪魔の妹ヒルダ 市原悦子
村の鍛冶屋ガンコ 東野英治郎
村長 三島雅夫
[解説]
メジャー・カンパニー=東映の参入は、わが国のアニメーションの製作に大きな変化をもたらした。長篇動画における初の色彩化、ワイド・スクリーンの導入などに連なるこの作品では、ゼログラフィ(原画をセルに直接転写するシステム)が全面的に採用された。もっとも、1965年頃から大量生産されたテレビ・アニメーションへと東映動画内における製作の比重が移りつつあるなかで、技術的な質の低下を懸念するスタッフの熱意もあり、企画から完成までに3年半が経過している。そのスタッフの一員である高畑勲(長篇初監督)宮崎駿(原画及び場面設計)は現在わが国を代表するアニメーション作家となっている。反体制的色彩の強いストーリー、少女ヒルダに見られる陰影あるキャラクターなど、このジャンルにおける物語の定型を大きく逸脱しており、ユーモアやギャグの希薄さをめぐる当時の批評からは、この作品が斬新な外観をまとって登場したことがうかがわれる。
■銀河鉄道の夜
[1985年 朝日新聞社=テレビ朝日=日本ヘラルド映画グループ] (カラー スタンダード 107分)
[スタッフ]
原作 宮澤賢治
原案 ますむら・ひろし
脚本 別役実
監督 杉井ギサブロー
プロデューサー 原正人、 田代敦巳
撮影 小山信夫
音楽 細野晴臣
美術 馬郡美保子
[出演者]
ジョバンニ 田中真弓
カンパネルラ 坂本千夏
かおる 中原香織
ただし 渕崎ゆり子
ザネリ 堀絢子
マルソ 一城みゆ希
鳥捕り 大塚周夫
ジョバンニの母 島村佳江
カンパネルラの父 納谷悟朗
先生・学者 金田龍之介
燈台守 常田富士男
[解説]
宮澤賢治の代表作である童話のアニメーション映画化だが、主な登場人物を猫に仕立てたますむら・ひろしの異色漫画を原案に、脚本に演劇界の巨人・別役実、音楽にYMO解散後の細野晴臣を迎え、『ジャックと豆の木』(1974)などを手掛けてきた杉井ギサブローが演出を務め、一年半の製作期間をかけて完成させた1980年代日本アニメーション映画の金字塔。文選工として働くジョバンニは、星祭りの夜、無二の友人カンパネルラと共に、機関車に乗って星空へと旅立つ。多くの乗客との出会いと別れを通して、母一人子一人で育ってきた少年は自らの孤独と向き合い、生き続ける意味を確かめることになる。公開当時、「十年もたつとこれは名作としての生命をよみがえらす」と述べた映画評論家・淀川長治を初め、多くの映画人から絶賛され、読者選出による「キネマ旬報」ベストテンでも第7位に選ばれている。常田富士男による最後の朗読は、宮澤賢治の詩「春と修羅」の序である。
グランシップ懐かしの映画会 洋画劇場
グランシップ懐かしの映画会 洋画劇場 開催決定!
日時:2016年12月3日(土)
10:30~ 『誰が為に鐘は鳴る』(1943年 アメリカ カラー 165分 字幕版)
13:30~ 『ホワイト・クリスマス』(1954年 アメリカ カラー 120分 字幕版)
会場:グランシップ2階映像ホール