この事業は終了しました
グランシップ伝統芸能シリーズ
人形浄瑠璃 文楽
日本が世界に誇る大人の人形劇
日時 |
2016年10月10日(月・祝) 昼の部13:30~/夜の部18:00~ |
---|---|
会場 |
中ホール・大地 全席指定 |
料金 |
1階席3,600円 こども・学生1,000円 昼夜通し券6,480円 2階席1,000円
【東部地区発!らくらくバスツアーも決定!】 |
主催 | 公益財団法人静岡県文化財団、静岡県、公益財団法人文楽協会 |
後援 | 静岡県教育委員会 |
問合せ | グランシップチケットセンター TEL054-289-9000 |
大化の改新を題材とした時代物の名作「妹背山婦女庭訓」
おしゅん伝兵衛の心中事件を描いた世話物「近頃河原の達引」
字幕表記や出演者によるあらすじ解説もあるので、初めての方でもお気軽に。
昼の部:「妹背山婦女庭訓」 ~杉酒屋の段 ~道行恋苧環 ~姫戻りの段 ~金殿の段
夜の部:「近頃河原の達引」 ~四条河原の段 ~堀川猿廻しの段
チラシは上記PDFのほか、こちらからもご覧いただけます。外部サイトShizuoka ebooks(しずおかイーブックス)
配役表(PDF)
あらすじ
◆妹背山婦女庭訓
古代、大和で起きた蘇我入鹿のクーデター。ひそかに討伐計画を進める藤原鎌足・淡海父子-のちの天智天皇と藤原鎌足による蘇我入鹿暗殺(645年)を題材とし、大和の様々な伝承を織り込んだ、近松半二ほか合作の五段の時代物で、明和八年(1771)、竹本座初演。入鹿討伐に巻き込まれた庶民の娘の悲恋を描く四段目をお届けします。
【杉酒屋の段】今日は七夕。三輪の里の杉酒屋の娘お三輪が、糸先に針をつけた紅白の苧環を供えて星に願うのは、最近隣りに引っ越して来た求馬との変わらぬ愛。ところが、求馬のもとには毎夜美しい姫が訪れていました。顔をあわせたお三輪と姫は、求馬の取りあいに。やがて夜道を駆け去る姫。決して素姓を明かさない姫の正体を暴こうと、あとを追う求馬。恋人を奪われまいと、お三輪も苧環を持ったまま追いかけます。
【道行恋苧環】姫に追いついた求馬とお三輪。再び求馬を奪いあう二人。夜明けが迫り、先を急ぐ姫の袂に、求馬は手にしていた苧環の針をつけ、糸を頼りに追跡します。お三輪も同じく求馬の裾に針を刺したのですが……。
【姫戻りの段】姫が戻った先は入鹿の御殿。求馬実は淡海との恋を叶えるため、入鹿の妹であることを隠していた橘姫は、淡海のために、命に替えても、宮中から入鹿が盗んだ宝剣を奪い返そうと決意します。
【金殿の段】途中で糸が切れ、やっとのことで御殿にたどり着いたお三輪。その耳に、今宵、求馬と姫が祝言を挙げるとの話が。恋人を奪われ、官女たちからも散々に辱められ、嫉妬と怒りに荒れ狂うお三輪を刺したのは、鎌足降参の使者漁師鱶七と偽って入鹿のもとに来ていた、鎌足の家来金輪五郎でした。鹿の生血を飲んだ母から生まれた入鹿の唯一の弱点は、爪黒の鹿の血と嫉妬に狂う女の生血とを注ぎかけた笛の音を聞くと、意識を失うというもの。既に鹿の血は鎌足の手にあり、あと必要だったのは女の血。それが得られた今こそ入鹿討伐のとき―求馬の正体を知らされ、自身の死が恋人の役に立つことを喜んだお三輪は、ひたすら求馬を恋い慕い、息絶えます。
美男美女三人による星空のもとでの美しい道行、豪華な御殿、そこに迷いこんだ娘の恋ゆえの不安や悲しみ、激しい怒りと哀れな最期、官女の意地悪さも含めて、見どころにあふれた人気演目です。
◆近頃河原の達引
京都の貧しい猿廻しの家を舞台とした、母、兄妹の思いやりに満ちた物語。
【四条河原の段】猿廻しの与次郎は、病で目の不自由な老母と二人暮らし。その妹で祇園の遊女おしゅんと井筒屋伝兵衛は深い仲。ところが、伝兵衛出入りの武家屋敷の侍がおしゅんに横恋慕。伝兵衛殺害を企んで四条河原で待ち伏せし、逆に伝兵衛に殺されてしまいました。人を殺して生きてはいられないと、伝兵衛が自害を覚悟したとき、恩を受けた知人が身代わりを申し出、伝兵衛を逃がします。
【堀川猿廻しの段】しかし、現場に落ちていた小刀から伝兵衛が犯人と知れ、目下、詮議の真最中。おしゅんはひそかに店から実家に戻されました。老母と兄が恐れるのは、追い詰められた伝兵衛が心中を決意し、おしゅんを殺しに来ること。そこで妹に絶縁状を書かせ、安心した二人が寝入ったその夜、おしゅんと一緒に死ぬため、伝兵衛が忍んで来ました。妹を守ろうと与次郎が手渡した絶縁状は、実は家族に宛てた書置き。あくまでも伝兵衛への愛を貫き、死をもいとわないおしゅんに心を打たれた老母は、できるだけ二人が生き延びることを願いながら、娘を伝兵衛に託し、与次郎も猿廻しで二人の門出を祝福、今生の別れを告げるのでした。
天明五年(1785)に江戸で正本が刊行された上中下三巻の世話物ですが、内容的に上方の作品であり、初演、作者、実説等について確かなことはわかりません。ご覧いただく中之巻は、母思い、妹思いで優しく、正直者だけれども臆病、どこかユーモラスな与次郎が魅力的、また、「そりゃ聞こえませぬ、伝兵衛さん」に始まるおしゅんのクドキは有名で、猿廻しでは、人形遣いが両手で二匹の猿を遣い、三味線も大活躍します。