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「パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団」をより楽しむための事前レクチャー。
今回演奏する曲の魅力や聴きどころのほか、オーケストラの楽しみ方についても語ります。
昨秋NHK交響楽団の首席指揮者に就任したパーヴォ・ヤルヴィの生み出す音楽や人柄について、同楽団で第1コンサートマスターを長年務め、ヤルヴィと親交のある“マロ先生”こと篠崎史紀さんが迫ります。演奏にもご期待ください。
出演:篠崎史紀(ヴァイオリン)、物井彩(ピアノ)
篠崎史紀(講師・ヴァイオリン)
1963年生まれ。その容貌から"まろ"の愛称で親しまれている。
3歳よりヴァイオリンの手ほどきを、多くのプロ演奏家を輩出した篠崎永育(父)と幼児教育の第一人者である篠崎美樹(母)から受ける。その後、田中令子、江藤俊哉、トーマス・クリスティアン、イヴリー・ギトリス各氏に師事。室内楽を、バリリ・クァルテット、アマデウス・クァルテットのメンバーより学ぶ。幼少より天賦の才能を発揮し、毎日学生音楽コンクール全国第1位獲得。1979年、史上最年少で北九州市民文化賞受賞という快挙を成し遂げ、一躍その名を轟かせた。
81年よりウィーン市立音楽院に留学。翌年、ウィーンコンツェルトハウスにて同音楽院のオーケストラと共演し、ウィーン・デビューを飾る。その演奏は、「信頼性のあるテクニック、遊び心もある音楽性」(ヴィーナーツァイトゥング紙)、「真珠を転がすような丸く鮮やかな音色、魅惑的な音楽性」(フォルクスシュティンメ紙)と各メディア紙から称賛される。完璧なテクニックとパッション溢れる美音は他の追随を許さない。また、第34回ヴィオッティ国際音楽コンクール(デュオ)第3位、第20回ボルドー国際音楽祭では銀賞を受賞し、ヨーロッパの主要コンクールで受賞実績も重ねる。
84年、アメリカのワシントンで開催されたタコマ国際音楽祭においてアメリカ・デビューを果たす。以来、オーストリアを中心として、ボルドー国際音楽祭(フランス)、シエナ国際音楽祭(イタリア)、ティリスブルグ国際音楽祭(オーストリア)、シュラードミング国際音楽祭(オーストリア)、ルツェルン国際音楽祭(スイス)、カザルス音楽祭(アメリカ)、ソフィア国際音楽祭(ブルガリア)などの国際音楽祭に招聘され、ヨーロッパ、アジア、アメリカで幅広い活動を行っている。シュラードミング・インターナショナル・ミュージック・フェスティヴァルでは、トーマス・クリスティアン氏のアシスタント・プロフェッサーも務める。
88年、ウィーン市立音楽院を修了後、帰国。群馬交響楽団コンサートマスター、読売日本交響楽団コンサートマスターを歴任し、97年4月よりNHK交響楽団コンサートマスターに就任。現在は第1コンサートマスターとして、指揮者、オーケストラから厚い信頼を得ている。オーケストラとの共演も多く、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、札幌交響楽団、群馬交響楽団、広島交響楽団、九州交響楽団、北京放送交響楽団、エヴァグリーンシンフォニーオーケストラ、アマリロシンフォニーオーケストラ、ヴィーナーヴィルティオーゾ、ブタペスト歌劇場室内アンサンブルなどと共演している。
97年、「坂本龍一 / PLAYING THE ORCHESTRA 1997"f"」にオーケストラコーディネーターとして参加する。互いに「こんな奴(人)がクラシック(ポップス)界にいたのか!」と第一印象を抱きながら、"教授"とジャンルを超えた交流が生まれる。99年、「LIFEaryuichi sakamoto opera 1999」でも共演し、「N響のコンマスが「ライフ」のコンマス!?」と注目を集める。ドラマ「永遠の仔」のテーマ曲、地雷ZEROキャンペーンソング、 映画「星になった少年」のユニットにも参加している。
ソリストとしてはもちろんのこと、室内楽奏者としての評価も高い。ウィーンとブタペストで開催されている「MARO室内楽シリーズ」では、ウィーンフィルハーモニー首席チェロ奏者フランツ・バルトロメイ氏、同ビオラ首席奏者エルマー・ランドレイ氏らをはじめ、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン交響楽団、ウィーン・トーンキュンストラーオーケストラ、ウィーン・フォルクスオペラ、ハンガリー・フェスティバルオーケストラ、ハンガリー国立歌劇場管弦楽団、フランツ・リスト室内アンサンブル、ベルリン・コミッシェオペラの各首席奏者と共演を重ねている。
さらには、演奏会やオーケストラの企画も行う。2004年1月よりスタートした、"まろ"プロデュースによる「MAROワールド」(銀座・王子ホール)は、チケットが発売初日に数十分で完売という人気シリーズである。毎回一人の作曲家を取り上げて演奏会は行われ、弦楽合奏団「MAROカンパニー」はこの企画から生まれた。クリスマス時期には「X'MARO」と題して演奏会が行われる。2009年には「Meister Art Romantker Orchester」を結成し、国内外で大きな話題を呼ぶ。この演奏はBS番組にて放送されている。
多岐にわたる演奏活動の傍ら、東京ジュニアオーケストラ・ソサイエティの芸術監督として、また、桐朋学園大学で後進の育成にも力を注ぎ、「マロの部屋」「MARO塾」「MAROプロジェクト」と称した講義や講習会も積極的に行う。
これまでにあ佳音レーベルよりリリースされた13枚のCDは、完成度の高い録音で好評を得ている。「アレンスキー:ピアノ三重奏曲第1番&第2番」はロマンティックを体験するための名盤50選(音楽の友)に選出され、「レゾネート・エターナリー」はレコード芸術の特選に推薦される。
最新CDは、馥郁たる香りがするヴァイオリン小品集「薔薇の騎士」。
そのほか、NHKお正月の人気番組の「ウィーンフィルニューイヤーコンサート」のコメンテーター、NHKラジオ番組「MAROのSP日記」(年2回放送)では、巧みなトークで幅広い層のファンを魅了し、「金曜バラエティー」のエンターテーメント演奏、雑誌、TVでお馴染みの「食彩浪漫」でウィーン料理の披露、帯を加工した和柄ヴァイオリンケースのコラボレーション企画など、その活動範囲はとどまるところを知らない。
著書に「ルフトパウゼ」(出版館ブック・クラブ)、ヴァイオリン小品集を監修した「MARO`s Palette」(ヤマハミュージックメディア)、篠﨑史紀のヴァイオリン上達練習法「パンドラの箱」(アジア・インターネット・サービス)、「絶対! うまくなる バイオリン 100のコツ」(ヤマハミュージックメディア)がある。
2001年、福岡県文化賞受賞。2008、年北九州市文化大使に任命。2014年、N響入団以来、コンサートマスターとして長年にわたり活躍し同団の声価を高めた貢献に対し、第34回有馬賞を受賞した。WHO国際医学アカデミー・ライフハーモニーサイエンス評議会議員。桐朋学園非常勤講師、東京藝術大学非常勤講師、昭和音大客員教授。
物井彩(ピアノ)
桐朋学園大学音楽部卒業。平成20年度滝廉太郎記念コンクール第1位。第12階九州音楽コンクール高校の部金賞及び最優秀賞受賞。NHK交響楽団第1コンサートマスター篠崎史紀氏による「MAROプロジェクト2012」ピアノ部門のオーディション選出により、室内楽コンサートに出演。第6回おおいた新人演奏会、第17回別府アルゲリッチ音楽祭大分県若手演奏家コンサートに出演。2013年より篠崎史紀氏の伴奏者として、大分でのコンサート、NHK文化カルチャーセンター青山教室での伴奏を務める。現在、東京都大分を拠点に演奏活動を行う。