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昭和に輝く四大女優の傑作をフィルム映画で!
グランシップ 懐かしの映画会
名匠・成瀬巳喜男の演出で紡ぎだす「女と男の物語」を特集上映

日時 2015年1月29日(木)・30日(金)
会場 中ホール・大地
料金 全席自由/1日券1,000円 2日通し券・ペア券1,500円

※グランシップ友の会会員は1割引き(通し券・ペア券の割引はありません)
主催 グランシップ優秀映画鑑賞推進事業実行委員会、(公財)静岡県文化財団、文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター
協力 松竹ブロードキャスティング株式会社、株式会社オーエムシー

懐かしの映画会
グランシップサポーターによるイラストを用いた今年度のチラシ


1月29日(木)10:00開場
10:30~12:10 おかあさん
13:00~15:10 浮雲

1月30日(金)10:00開場
10:30~12:10 めし
13:00~14:50 乱れ雲


日本映画の名作を35ミリフィルムで楽しめる貴重な機会。
男女の心のあや、生きることのはなかさを描いた成瀬巳喜男監督の代表作を上映します。昭和に輝く四大女優の名演技をご堪能ください。



◆おかあさん [1952年  新東宝]

監督:成瀬巳喜男  脚本:水木洋子  原作:〈森永母を讃える会〉選定「全国児童綴方集」より
出演:田中絹代 香川京子 岡田英次 片山明彦 加東大介 三島雅夫 ほか

解説:全国の小学生から募集した作文をまとめた「おかあさん」をもとに、女流脚本家の第一人者、水木洋子が脚本化した作品。戦災で失ったクリーニング店をようやく再開したのもつかの間、夫は過労で病床に伏し、病弱な長男は息を引き取った。娘二人と幼い甥をかかえて懸命に働く母の姿を、思春期の長女の目を通して描いている。丁寧で緻密なカットの積み重ねにより独自の世界を築き上げた「キネマ旬報」ベストテン第7位の作品。
(白黒 スタンダード 98分)

◆浮雲 [1955年  東宝]

監督:成瀬巳喜男  脚色:水木洋子  原作:林芙美子
出演:高峰秀子 森雅之 岡田茉莉子 山形勲 中北千枝子 加東大介 ほか
解説:〈文芸映画〉〈女性映画〉の第一人者と言われた成瀬監督が、林文学の最晩年の長篇小説を映画化。戦時中、勤務先の仏印で激しい恋に陥った一組の男女が、戦後の荒廃した日本でその不倫関係を断ち切れない様子を描く。あきらめても裏切られても離れられない二人のやるせなさは、何かにすがりつかずには生きていけない人間の業の深さを描いた成瀬の代表作。微妙な心の揺れを表現した高峰秀子と森雅之の演技は敬服すべきものがある。「キネマ旬報」ベストテン第1位。
(白黒 スタンダード 123分) 


◆めし [1951年  東宝]

監督:成瀬巳喜男  監修:川端康成  脚色:井手俊郎 田中澄江  原作:林芙美子
出演:上原謙 原節子 島崎雪子 杉葉子 風見章子 杉村春子 ほか
解説:結婚生活も5年が過ぎ、倦怠期を迎え始めた夫婦。そこに突然、夫の姪が転がり込んできたことから、二人の暮らしに思いもよらぬ波乱が生じ始める。美男美女の主演二人が、本作ではともに中年にさしかかり、平凡で退屈な男と所帯やつれした女になったさまを、見事に好演。原作は林芙美子の未完の新聞連載小説。その結末が、叙情と繊細極まりない演出のなかに開花している。黒澤、溝口、小津に続く〈日本の巨匠〉として、世界に認められた代表作の一つ。
(白黒 スタンダード 97分)


◆乱れ雲 [1967年  東宝]

監督:成瀬巳喜男  脚本:山田信夫  音楽:武満徹
出演:加山雄三 司葉子 森光子 浜美枝 草笛光子 加東大介 ほか
解説:事故とはいえ車で人をひき殺した青年商社マン、その事故により突然エリート役人の夫を失った幸福の絶頂にいた女。普通ならば交わることのない二人の微妙に揺れ動く心理と葛藤を、淡々としたカトの積み重ねで的確に描き出し、人間の内面に切り込んだ社会ドラマへと昇華させている。深い憎しみが徐々に愛情に変わり、自らの理性と感情の相克に悩む難しい役柄を好演した司葉子の代表作であり、成瀬監督の遺作。
(カラー シネマスコープ 108分)

※この映画会は、グランシップサポーターが実行委員会を設けて企画したものです。私たちは静岡県の文化振興を応援します。
※フィルムの状態により、音声や映像に乱れがある場合があります。ご了承ください。


★開催決定!★
グランシップ懐かしの映画会 洋画劇場

2015年2月22日(日)
10:30~ 「E.T.」   13:30~ 「カサブランカ」
会場/グランシップ 2階映像ホール
全席自由/1作品500円 こども(3歳~中学生)100円

お申し込み/住所・氏名・電話番号・参加人数を下記までお知らせください。
グランシップチケットセンター
TEL 054-289-9000  FAX 054-203-5716  Eメール info@granship.or.jp


★同時開催 <観覧無料>★

高松宮妃のおひなさま展

2015年2月13日(金)~3月3日(火) ※期間中無休
10:00~17:00(最終入場は16:30まで) 6階展示ギャラリー

徳川慶喜公の孫にあたられる高松宮妃喜久子さまが、ご成婚の際にお持ちなった京雛を展示。いにしえの宮廷を写し取ったかのうように成功に作り込まれた雛人形・葵の御紋があしらわれた調度品の数々をご堪能ください。
 

開催レポート

「グランシップ懐かしの映画会」1日目、ご盛況のうちに終了!

2015年01月29日(木)

こんばんは。今日は、グランシップサポーター企画「グランシップ懐かしの映画会」1日目が行われました。

この写真は開場前の様子。
赤いジャンパーのスタッフが、グランシップ懐かしの映画会実行委員のグランシップサポーターです。
黄色いのぼり旗は、そのサポーター直筆の墨書によるオリジナルです!!
隣にある昭和の青空色のポスターも、サポーターの手によるものですき

常連のお客様はご存じのとおり、「グランシップ懐かしの映画会」は35ミリフィルムを懐かしの映写機で上映しています。
客席の一番後ろに映写機がスタンバイしていますので、開演前後には、間近でご覧いただくこともできますよ。

今日の1作目の上映は、田中絹代主演の『おかあさん』。
戦後を力強く生き抜く家族の物語です。
その頃の一般家庭の様子を、グランシップサポーターがジオラマと人形で創り上げ、会場に展示しています。
約半年間かけて、試行錯誤しながら少しずつ創り上げた力作をお客様に楽しんでいただくことができました。

映画会は午前に1作品、午後に1作品上映のため、お昼休憩を取っていただくスペースがあります。
お弁当をお持ち込みいただくこともできますし、毎年大人気のウィングハートさんによる手作りパン、お弁当、お菓子、みかんの販売もありますペコちゃんハート

映画上映前後の会場では、映画の時代背景を味わっていただくため、昭和の静岡県の様子をとらえた写真をスライド上映しています。
実際の風景をご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

映画作品だけでなく、その時代背景や作品にまつわるあれこれを1日で丸ごと楽しんでいただける「グランシップ懐かしの映画会」。
明日は最終日。

1月30日(金)10:00開場
10:30~12:10 めし
13:00~14:50 乱れ雲
全席自由/1日券1,000円 ペア券1,500円

詳細はこちらで。
グランシップサポーター一同お待ちしております!





「グランシップ懐かしの映画会」サポーターによる作品紹介4

2015年01月24日(土)

こんばんは。サポーターのOです。
寒い日が続いていますが、皆様元気にお過ごしでしょうか?
私は先日体調を崩してしまい、グランシップサポーターとグランシップ職員の新年会に欠席せざるをえず、残念な思いをしました。
けれど、グランシップサポーター企画である、この「懐かしの映画会」実行委員会だけは休むわけにはいかない!と、マスクをして出席しました。準備も順調に整ってきたので、皆様ぜひお楽しみに!

では、最後の作品となる「乱れ雲」についてご紹介します。

「乱れ雲」 昭和42年(1967)
キネマ旬報ベストテン第4位
山田信夫のオリジナル脚本を映画化。成瀬巳喜男監督の遺作。

●あらすじ●
江田由美子(司葉子)は通産省に勤める夫の宏(土屋嘉男)と幸せな生活を送っていた。夫の宏はアメリカ派遣も決まり順風満帆に見えていたが交通事故であっけなく命を落としてしまう。宏を轢いた三島史郎(加山雄三)は無罪となったが青森へ左遷させられ、常務の娘(浜美枝)との婚約も破棄された。由美子は夫の両親から籍を抜かれ、お腹の子供をおろして青森の史郎を訪ねた・・・。

●見どころ●
この映画は車社会の到来で交通事故が頻発するようになり、被害者も加害者もその後の人生が一変し、一生背負う重荷になることが背景としてある。成瀬監督としては珍しくカラー作品で十和田湖の自然を背景にしっとりとした質感のある映像となっている。

司葉子(1934~)は放送局勤務の時にスカウトされ映画界へ。細身で清潔感のあるクールビューティー。
小津安二郎の「秋日和」、黒澤明の「用心棒」、中村登の「紀ノ川」など名作に出演。特に「紀ノ川」ではその年の7つの映画賞(キネマ旬報、ブルーリボン賞、毎日映画コンクールなど)の主演女優賞を総なめにし、演技力の高さを実証して大女優に。この映画では夫を交通事故で死なせた加害者を当初は憎悪していたが出会う毎にその誠実さに徐々に惹かれて、愛情を抱くようになる難しい役を見事に演じきった。

加山雄三(1937~)は俳優、シンガーソングライター、ギターリスト、画家などマルチな才能に恵まれて「若大将」の愛称で親しまれている。映画では「若大将シリーズ(18作)」が大ヒットし一世を風靡した。
黒澤明の「椿三十郎」「赤ひげ」、森谷司郎の「八甲田山」 成瀬作品では「乱れる」などの名作に出演し好評を博した。音楽では「君といつまでも」が大ヒットした。現在も各ジャンルで活躍している。

「グランシップ懐かしの映画会」はいよいよ来週末開催です。





「グランシップ懐かしの映画会」サポーターによる作品紹介3

2015年01月14日(水)

こんばんは。サポーターのOです。
「グランシップ懐かしの映画会」の上映作品3作目をご紹介します。

「めし」 昭和26年(1951)
キネマ旬報ベストテン第2位

●あらすじ●
倦怠期を迎えた夫婦、初之輔(上原謙)と三千代(原節子)のもとに、家出した初之輔の姪里子(島崎雪子)が転がり込んできて自由奔放に動き回る。三千代は次第に不満が募り、些細なことで初之助と諍いを繰り返し、溝を深めていく。そしてついに別居を決意するが・・・。

●見どころ●
林芙美子の原作を基に脚色し映画化。大阪下町の家並み、板塀、格子戸、玄関や台所がリアルに描かれ、演出も日本家屋の特徴を生かした 構図で、特に原節子の朝の台所仕事はテンポとリズミカルで生活感がにじみ出ていて、昭和の朝餉風景が蘇ってくる。
成瀬監督こだわりの手法、猫とチンドン屋が巧く挿入されストーリーの展開に暗示を与えている。
また、当時の移動手段は「歩き」が主だったので、主人公が二人で歩くシーンがよく撮られている。

原節子(1920~)は日本人離れした美貌と清楚な雰囲気で「永遠のマドンナ」と言われ、昭和を代表する伝説的な大女優。代表作、今井正の「青い山脈」は戦後の自由を謳歌する青春讃歌。主題歌と共に大ヒットした。作品中、いたずらラブレターに「恋しい!」を「変しい!変しい!と書いて当時の流行語に。
黒澤明の「我が青春に悔なし」、小津安二郎とのコンビで「晩春」「東京物語」「秋日和」、成瀬作品では「山の音」「驟雨」「娘・妻・母」など数々の名作を残して惜しまれながら引退した。

上原謙(1909~1991)は戦前~戦後と活躍した典型的な二枚目俳優。メロドラマに多く出演し、当時の女性フアンの心をつかんだ。野村浩将の「愛染かつら」、五所平之助の「煙突の見える場所」、吉村公三郎の「夜の河」、成瀬作品の「晩菊」「山の音」が代表作。俳優の加山雄三は実子。

次回はいよいよ最後の作品「乱れ雲」についてご紹介します。





「グランシップ懐かしの映画会」サポーターによる作品紹介2

2015年01月07日(水)

新年あけましておめでとうございます!グランシップサポーターOです。

年末に続き、「グランシップ懐かしの映画会」の上映作品をご紹介します。
今回は、1月29日(木)13:00から上映する高峰秀子主演の『浮雲』です。

『浮雲』昭和30年(1955)
キネマ旬報ベストテン第1位
林芙美子の原作を映画化。成瀬監督の最高傑作と言われる作品。

●あらすじ●
戦時中、赴任先のインドシナで妻ある富岡(森雅之)と出会い、関係を持ったゆき子(高峰秀子)は戦後もずるずると関係を続けながら、荒廃した世相の中を逞しく生きていく。富岡は次々と遍歴を重ね、関係した人妻(岡田茉莉子)が夫に殺され、妻も病死し、惨めに落ちぶれていくが、結局、離れられない。
二人はやり直そうと屋久島へ赴任するが・・・。

●見どころ●
ゆき子は必死に生きながら、自堕落な一人の男を一途に想い、どこまでも追い続け、愛に殉ずる。その最後は神々しいまでに美しく、成瀬監督の演出が冴えて、観る者に感動と余韻を与える。
戦後の荒廃した家並み、路地、室内がリアルに描かれている。特に伊香保温泉(群馬県)の有名な石階段はスタジオセットで際立って圧巻。成瀬作品の美術スタッフ(中古智)の力量を感じる。

原作者:林芙美子の名言「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」がエンドマーク

高峰秀子(1924~2010)は5歳で映画デビューし、「デコちゃん」の愛称で親しまれ、明朗闊達な女性から「浮雲」のような愛におぼれ、運命に翻弄される悲劇的な女性までを演じ、昭和の時代を飾った国民的大女優。木下恵介の「二十四の瞳」「カルメン故郷に帰る」、稲垣浩の「無法松の一生」、成瀬作品では「稲妻」「放浪記」「乱れる」など多くの名作に出演した。「細雪」の文豪・谷崎潤一郎、画家・梅原龍三郎ら名士とも広く親交があり、エッセイストとしても活躍、著書を残している。

森雅之(1911~1973)は知的な二枚目として、新劇から映画界に入った演技派俳優。
黒澤明の「羅生門」や溝口健二の「雨月物語」など、世界映画史にも残る傑作に出演し、昭和の日本映画界を代表する俳優。 成瀬作品では「あにいもうと」「あらくれ」などの名作に出演。なお、実父は作家の有島武郎(カインの末裔)、叔父が作家の里見弴(多情仏心)であることは広く知られている。

次回は「めし」についてご紹介します。




「グランシップ懐かしの映画会」サポーターによる作品紹介1

2014年12月28日(日)


こんにちは。グランシップサポーターOです。
グランシップサポーター企画として、今年も「グランシップ懐かしの映画会」を開催します。
今回は昭和の時代を代表する大女優、田中絹代、高峰秀子、原節子、司葉子が主演し、女性映画の名匠成瀬巳喜男が監督した傑作4本をフイルム映画で一挙上映します。

平成27年(2015) 1月29日(木)~ 1月30日(金)の2日間。

●1月29日(木)
10:30~12:08 「おかあさん」
13:00~15:30 「浮雲」

●1月30日(金) 開場 10:00
10:30~12:07 「めし」
13:00~14:48 「乱れ雲」

それではこのブログで、それぞれの作品とみどころについて1作品ずつ紹介します。
最初は「おかあさん」です。

「おかあさん」 昭和27年(1952) キネマ旬報ベストテン第7位
1951年に出版された「あかあさん・全国児童綴り方集」から着想を得て映画化。脚本は水木洋子。
「戦災で焼け出されたクリーニング屋をようやく再開した福原家、しかし長男、続いて父(三島雅夫)が亡くなり、母(田中絹代)は一人で店を切り盛りして、子供たちを育てなければならなくなった・・・・」
その家族を長女(香川京子)の視点で描いたホームドラマ。当時の日本でどこにでも見られた人々の日常描写は、リアリズムに徹しながら、時にはユーモアを交えて描いている。
田中絹代は不幸に見舞われながらも弱音を吐かず、涙を見せず、黙々と働く日本の典型的な母親を演じ感動的。割烹着はその象徴で良く似合う。香川京子は元気溌剌、家族を明るくしている。
この映画はパリでも公開され、高い評価を得てヨーロッパに「ナルセ」の名前を広げた。

田中絹代(1909~1977)と言えば、上原謙と共演した戦前の映画「愛染かつら」がまず思い出される。主題歌と共に大ヒットした。「♪花もあらしも踏み越えて、いくが男の生きる道~」 この歌は戦後も歌われ続け、当時の人々に勇気と希望を与えてくれた。田中絹代は溝口健二監督の「西鶴一代女」、木下恵介監督の「楢山節考」など日本映画史に残る名作に数多く出演し、その演技力は国際的にも評価されて昭和の日本を代表する大女優と言える。成瀬作品では「銀座化粧」「流れる」「放浪記」など名作に出演。
木村のおじさん役の加東大介(1911~1975)は黒澤明の傑作「七人の侍」に出演、名脇役として数多くの名作に出演し、日本映画界を支えた。成瀬作品では、名作「浮雲」「乱れ雲」ほかに出演し、重要な役割を演じている。「おかあさん」で共演の沢村貞子は実姉、津川雅彦、長門裕之は甥。

次回は「浮雲」についてご紹介します。

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